土の恵み

                          隈元 達雄

                                   2009・1・20

 鹿児島市犬迫町の都市農業センターの一画にある貸農園を借りて最終年の3年目に入った。

5〜6年前になろうか、秋の農業祭を見に行き散歩するなかで

この貸農園を知り4月入園の抽選でやっと当ったのが2年前のことである。

 私にとっての農業経験は母の郷里の上東郷村(現在の薩摩川内市の一画)に疎開していた小学校3年生までの拙いもので、麦踏、麦刈り、からいもの収穫くらいしかない。

いっぽう妻は北九州育ち、ただ草花が大好きで家の周囲を季節の花々でいっぱいにする特技の持ち主である。そんなことで農園も当然妻主導、私は刺身のツマである。

ただ自宅から車で15分近くかかるので、免許証のない妻一人ではいかんともしがたく、私の出番となる。現場では植栽、剪定、肥料やりなど主要な仕事は妻、私はもっぱら、畝起し、草取り、水やりなどを引受け結婚40数年目の阿吽の呼吸で楽しくこなす。1

0坪足らずの畑でも雑事ですぐ2時間くらいはたってしまう。農作業のミニ体験に励んでいる。

 1年目入園式のあと畑を前にして、まわりの皆さんに見習いながら堆肥3俵を施すことから始まった。それから1週間後、夏野菜の植え付けである。茄子、きゅうり、とまと、いわゆる“にがごい”(レイシともいう)、ピーマンなどなど10種類以上も植えたろうか。

途中の手入れも大変である。1週間行かないと堆肥も効いているせいか、草の芽が出てすぐ大きくなる。農園の指導の先生やまわりの農業の先達からの助言等聞きながらの暗中模索の農作業である。

この野菜にはこんな肥料をこれくらいの頻度で、またこれには沢山の水を与えないといけない等はじめて知ることばかりである。

 それでもありがたいことに初心者の私たちの畑にも確実に恵みのときは訪れた。きゅうりが収穫第1号だったと記憶しているが、そのあと、なす、とまと、にがごいなど1週間に最低2回は行かないと野菜によっては大きくなりすぎてしまうのである。

おかげで7月、8月は収穫のラッシュで食卓はいつもにもまして野菜料理でにぎわった。叔母たちや近所の人にも随分喜んでもらえたと思う。

 そのほか季節を見ながら、からいも、じゃがいも、たまねぎ、大根、らっきょう、だっきしょ(落花生)など植えて自分たちでもびっくりするようなできばえのものもある。

2年目は猛暑と手入れ不足で収穫は少なかったが、植物は正直だ。今年は今のところ順調。手入れに余念がない。土の恵みに感謝しつつ残された3月までを楽しみたい。

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